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NISA・iDeCo・基礎投資

特定口座で保有する株をNISA口座へ移管できない理由と対処法

2024年から始まった新NISA制度により、特定口座で保有している株式をNISA口座へ移管できないか検討している投資家が増えています。しかし、特定口座からNISA口座への直接移管は制度上不可能です。

本記事では、なぜ移管できないのか税制上の理由を詳しく解説し、特定口座の資産をどう扱うべきか、売却して買い直すべきケースと保有し続けるべきケースを具体例とともに紹介します。2025年12月時点の最新情報に基づいた実践的な対処法をお伝えします。

この記事の内容を解説するダイジェスト動画以下になります
↓↓↓

目次

特定口座からNISA口座へ株式を移管できない理由

特定口座からNISA口座へ株式を移管できない理由

税制上の根本的な違いが移管を不可能にしている

特定口座からNISA口座へ株式を移管できない理由「税制上の根本的な違いが移管を不可能にしている」

特定口座とNISA口座は、税制上まったく異なる仕組みで運用されています。この根本的な違いが、直接移管を不可能にしている最大の理由です。

特定口座とNISA口座の税制比較

項目特定口座NISA口座
譲渡益への課税20.315%非課税
配当金・分配金20.315%非課税
損益通算可能不可
投資上限額なし年間360万円
非課税保有限度額なし1,800万円

特定口座では、株式の売却益や配当金に対して所得税15.315%+住民税5%=合計20.315%の税金が課されます。一方、NISA口座は少額投資非課税制度として、一定の投資枠内での利益を非課税とする優遇措置です。

取得価額の引き継ぎができない制度設計

特定口座からNISA口座へ株式を移管できない2つ目の理由は、取得価額(購入時の価格)を引き継げないという制度設計にあります。

取得価額引き継ぎ不可の具体例

ケース:特定口座で100万円で購入した株式が、現在150万円に値上がりしている場合

  • 特定口座での取得価額:100万円
  • 現在の含み益:50万円
  • 仮に移管できたとしても、NISA口座では「150万円で新規取得」として扱われる
  • 過去の含み益50万円分の非課税メリットは受けられない

NISA制度は「新規投資を非課税にする」ことを目的としており、すでに特定口座で保有している資産の利益を遡って非課税にすることは想定されていません。これが、直接移管を認めない制度上の理由です。

金融機関間の口座移管も制度上不可能

同様に、NISA口座間での株式移管も制度上できません。例えば、A証券のNISA口座からB証券のNISA口座へ、保有株式を移すことはできないのです。

NISA口座の金融機関変更時の注意点

NISA口座を開設する金融機関は年単位で変更できますが、変更前の金融機関で保有している商品は変更後の金融機関には移管できません。売却しない限り、非課税期間中は変更前の金融機関で運用を続けることになります。

非課税と課税の「混在」を防ぐための制度

税務管理の観点から、課税済み資産(特定口座)と非課税資産(NISA口座)を明確に区分する必要があります。移管を認めると、以下のような問題が発生します。

  • どこまでが課税対象で、どこからが非課税なのか判別が困難になる
  • 税務署と金融機関の事務処理が極めて複雑化する
  • 投資家による不正な税逃れのリスクが高まる
  • 公平な税制運用が困難になる

このため、金融庁と国税庁は特定口座とNISA口座を完全に分離した制度設計としています。

特定口座の株式をNISA口座で運用する対処法

特定口座の株式をNISA口座で運用する対処法

唯一の方法は「売却→買い直し」

特定口座の株式をNISA口座で運用したい場合、唯一の方法は特定口座で一度売却し、その資金でNISA口座で同じ銘柄を買い直すことです。

売却→買い直しの手順

  1. ステップ1:特定口座で保有株式を売却注文
  2. ステップ2:売却代金が口座に入金されるのを待つ(通常2営業日)
  3. ステップ3:NISA口座で同じ銘柄を買付注文
  4. ステップ4:買付代金が決済される(通常2営業日)

※売却と買付を同日に実施する場合は、あらかじめ追加資金を入金しておく必要があります

売却時に発生する税金とコストを理解する

特定口座の株式をNISA口座で運用する対処法「売却時に発生する税金とコストを理解する」

特定口座で株式を売却する際、含み益がある場合は20.315%の税金が自動的に源泉徴収されます(源泉徴収ありの特定口座の場合)。

税金計算の具体例

購入価格100万円
売却価格150万円
譲渡益50万円
源泉徴収税額約10.2万円(50万円×20.315%)
手元に残る金額約139.8万円

さらに、金融機関によっては売買手数料が発生します。近年は多くのネット証券で株式売買手数料が無料化されていますが、利用している証券会社の手数料体系を事前に確認しましょう。

損益通算を活用して税負担を軽減する方法

特定口座の株式をNISA口座で運用する対処法「損益通算を活用して税負担を軽減する方法」

特定口座には損益通算という税制メリットがあります。複数の銘柄を保有している場合、利益が出ている銘柄と損失が出ている銘柄を同時に売却することで、課税額を抑えられます。

損益通算の活用例

銘柄損益税金
A株(利益銘柄)+50万円約10.2万円
B株(損失銘柄)-30万円0円
損益通算後+20万円約4.1万円

このケースでは、約6.1万円の税金が節約できます

売却して買い直すべきケースと判断基準

売却して買い直すべきケースと判断基準

含み益が少額で今後の値上がりが期待できる場合

売却して買い直すべきケースと判断基準「含み益が少額で今後の値上がりが期待できる場合」

現時点での含み益が小さく、今後さらに大きな値上がりが期待できる銘柄は、早めに売却してNISA口座で買い直すメリットが大きくなります。

シミュレーション比較

前提条件:

  • 投資元本:100万円
  • 現在の含み益:20万円(現在価値120万円)
  • 今後の期待値上がり率:さらに50%(180万円まで上昇)
パターンA:いま売却してNISA口座で買い直す場合
売却時の税金約4.1万円(20万円×20.315%)
NISA口座での投資額約115.9万円
50%値上がり後約173.9万円
最終手取り額約173.9万円(非課税)
パターンB:特定口座でそのまま保有し続ける場合
現在の評価額120万円
50%値上がり後180万円
売却時の譲渡益80万円
税金約16.3万円
最終手取り額約163.7万円

結論:パターンAの方が約10.2万円も有利になります。含み益が少ない段階で早めに移行することで、将来の非課税メリットを最大化できます。

運用損益がほぼゼロまたは少額の場合

特定口座での運用を始めたばかりで、含み損益がほとんどない状態なら、迷わずNISA口座で買い直すことをおすすめします。

こんな人におすすめ

  • 特定口座で投資を始めてから日が浅い
  • 含み損益が±5%以内の範囲
  • 長期保有を前提に投資している
  • 配当金や分配金を定期的に受け取る銘柄を保有している

売却による税負担がほぼゼロで、今後の利益をすべて非課税にできるため、早めの移行が最適です。

配当金・分配金を多く受け取る銘柄の場合

高配当株や毎月分配型の投資信託など、定期的なインカムゲインが大きい銘柄は、NISA口座で保有することで大きな節税効果があります。

配当金の課税比較(年間配当利回り4%の場合)

投資額年間配当金特定口座の手取りNISA口座の手取り差額
100万円4万円約3.2万円4万円約0.8万円
200万円8万円約6.4万円8万円約1.6万円
300万円12万円約9.6万円12万円約2.4万円

10年間保有した場合、300万円投資なら約24万円もの節税効果になります

特定口座での保有継続が適しているケース

特定口座での保有継続が適しているケース

NISA枠を使い切る十分な投資資金がある場合

新NISAの年間投資枠(360万円)と非課税保有限度額(1,800万円)を、特定口座の資金を使わずに使い切れるだけの投資余力がある場合、無理に特定口座の資産を売却する必要はありません。

保有継続が適しているケース

  • 年間360万円以上の新規投資資金を毎年継続的に用意できる
  • 5年以内にNISA枠1,800万円を使い切る見込みがある
  • 特定口座の含み益が大きく、売却すると多額の税金が発生する
  • 特定口座に含み損銘柄があり、回復を待ちたい

この場合、新規資金を優先的にNISA口座に投入し、特定口座の資産はそのまま保有し続ける戦略が最適です。特定口座で含み損がある銘柄は、値上がりするまで待つこともできます。

大きな含み益があり短期的に売却予定の場合

すでに大きな含み益がある銘柄で、数年以内に売却する予定がある場合は、特定口座のまま保有し続ける方が合理的な場合もあります。

判断のポイント

例:購入価格100万円が現在500万円に値上がりしているケース

  • 含み益:400万円
  • 売却時の税金:約81.3万円
  • NISA口座での買い直し額:約418.7万円

このケースでは、売却により約81万円の税金を支払い、NISA口座での投資枠を418.7万円も消費します。短期間で売却予定なら、非課税メリットを十分に享受できないため、特定口座のまま保有する方が良い場合があります。

含み損が大きく損益通算の機会を待ちたい場合

特定口座で含み損が大きい銘柄を保有している場合、将来的に他の銘柄で利益が出たときに損益通算することで節税できます。

含み損銘柄の戦略的保有

特定口座では、過去3年間の損失を繰り越して将来の利益と相殺できる「譲渡損失の繰越控除」制度があります。この制度を活用するには、確定申告が必要です。

年度取引内容課税所得
2023年A株で50万円の損失確定0円(損失繰越)
2024年B株で30万円の利益確定0円(繰越損失と相殺)
2025年C株で40万円の利益確定20万円(残り20万円と相殺)

新NISA制度の特徴と活用方法

新NISA制度の特徴と活用方法

2024年開始の新NISA制度の概要

2024年1月から始まった新NISA制度は、従来のNISAから大幅に拡充され、より使いやすい制度に生まれ変わりました。

新NISA制度の主要ポイント

項目旧NISA新NISA
年間投資枠120万円360万円(つみたて120万円+成長240万円)
非課税保有限度額600万円1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで)
非課税期間5年間無期限
制度の恒久化期限あり恒久化
売却後の枠復活不可可能(翌年に復活)

つみたて投資枠と成長投資枠の使い分け

新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つがあり、両方を同時に使えるのが大きな特徴です。

つみたて投資枠(年間120万円)

  • 金融庁が認めた長期・積立・分散投資に適した投資信託が対象
  • 毎月定額で自動積立する方式
  • 初心者や長期資産形成に最適
  • 代表的な商品:インデックスファンド、バランスファンドなど

成長投資枠(年間240万円)

  • 上場株式、ETF、REIT、アクティブファンドなど幅広い商品が対象
  • 一括購入も積立購入も可能
  • 個別株投資や高配当株投資に活用できる
  • つみたて投資枠対象商品も購入可能

旧NISAとの併用と移管の考え方

新NISA制度の特徴と活用方法「旧NISAとの併用と移管の考え方」

2023年までの旧NISA(一般NISA・つみたてNISA)で保有している資産は、新NISA口座には移管できません。旧NISAと新NISAは別制度として並行運用されます。

旧NISA資産の取り扱い

旧NISA種類非課税期間期間終了後
一般NISA購入年から5年間自動的に特定口座へ払い出し
つみたてNISA購入年から20年間自動的に特定口座へ払い出し

旧NISAの非課税期間中は引き続き非課税で運用できます。新NISAとは別枠として1,800万円に加算されません。

よくある質問と回答

Q1. 特定口座からNISA口座への移管手続きはどこで行いますか?

A. 特定口座からNISA口座への直接移管はできません。移管手続きは存在せず、特定口座で売却してNISA口座で買い直すという2段階の取引が必要です。売却は特定口座で、買付はNISA口座で、それぞれ通常の注文を出すだけです。

Q2. NISA口座から特定口座への移管はできますか?

A. NISA口座から特定口座への払い出し(移管)は可能です。ただし、払い出した時点で非課税メリットは失われ、払い出し時の時価が特定口座での取得価額となります。基本的にはメリットがないため推奨されません。

Q3. 含み損がある株をNISA口座で買い直すべきですか?

A. 慎重な判断が必要です。含み損銘柄を売却すると損失が確定し、NISA口座では損益通算ができません。ただし、今後値上がりが期待でき、かつ他の特定口座銘柄で利益が出ている場合は、損益通算を活用して節税しながら売却し、NISA口座で買い直すメリットがあります。

Q4. 売却と買付を同じ日にできますか?

A. 可能です。ただし、売却代金が入金される前に買付を行う場合は、あらかじめ買付に必要な資金を証券口座に入金しておく必要があります。売却約定後であれば、同日中にNISA口座での買付注文を出せます。

Q5. 特定口座の株を分割してNISA口座に移すことはできますか?

A. できます。例えば、特定口座で500万円分保有している株式のうち、200万円分だけを売却してNISA口座で買い直すことは可能です。残りの300万円分は特定口座でそのまま保有し続けられます。NISA枠に合わせて段階的に移行する戦略も有効です。

Q6. NISA口座で買い直した場合、特定口座での取得価額はどうなりますか?

A. 特定口座とNISA口座は完全に別管理されます。特定口座で売却した時点でその銘柄の履歴は終了し、NISA口座では新規購入として買付時の価格が取得価額になります。過去の取得価額は引き継がれません。

まとめ:特定口座とNISA口座の最適な使い分け

まとめ:特定口座とNISA口座の最適な使い分け

本記事の重要ポイント

移管できない理由

  • 税制上、課税口座(特定口座)と非課税口座(NISA口座)は完全に分離されている
  • 取得価額を引き継げない制度設計になっている
  • 新規投資を非課税にすることがNISAの目的であり、既存資産の遡及適用は想定外
  • 金融機関間のNISA口座移管も制度上不可能

対処法

  • 唯一の方法は「特定口座で売却→NISA口座で買い直し」
  • 損益通算を活用して売却時の税負担を軽減する
  • 売却手数料の有無を事前に確認する

買い直しがおすすめのケース

  • 含み益が少額で今後の値上がりが期待できる銘柄
  • 運用を始めたばかりで損益がほぼゼロの状態
  • 高配当株など定期的なインカムゲインが大きい銘柄
  • 長期保有を前提とした投資方針

特定口座継続がおすすめのケース

  • NISA枠を使い切る十分な新規投資資金がある
  • 大きな含み益があり短期的に売却予定がある
  • 含み損が大きく損益通算の機会を待ちたい
  • 複数年かけてNISA枠を段階的に埋めていく予定

最後に

特定口座からNISA口座への移管はできませんが、適切なタイミングで売却と買い直しを行うことで、長期的な非課税メリットを最大化できます。

重要なのは、個々の投資状況と将来の資金計画に基づいて判断することです。含み益・含み損の状況、今後の投資資金の見込み、銘柄の成長性など、複数の要素を総合的に検討しましょう。

判断に迷う場合は、税理士やファイナンシャルプランナーなど専門家への相談も検討してください。2025年以降も新NISA制度は恒久化されているため、焦らず自分に最適な戦略を立てることが大切です。

  • この記事を書いた人

トリセツ

手取りが少ない方、向けの節約&堅実投資のトリセツ。 NISAやiDeCoなど、初心者でも失敗しない資産形成のロードマップを徹底解説。 証券口座や金融サービスを本音レビューします。

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